悟り「空」に至る
HAM-SAH
東洋の秘教の系譜では、
マントラ「HAM-SAH」(ハムサー)は、
生命の混沌の水(第三ロゴス)を、
受胎させる驚くべきシンボルとして伝えられてきた。
(生命の混沌の水:宇宙創造のエネルギーであり、
シャクティー、クンダリーニである。
神の言葉、OMにより、
第三ロゴスから世界は生まれた。
現在、人類の性エネルギーの流れは逆転しているため、
SO-HAMという音を奏でている。
これを逆転させるとHAM-SAHとなる。訳注)
このマントラの発声の方法と、
この技法により、どのような力が得られるのか、
について知ることは大変重要である。
通常、性的な力というものは、
内側から遠心力によって外側へ流れている。
その結果、
性センター(ムラダーラ)をベースとした夢を見たとき、
夢精(射精、オルガズム)が起こるのだ。
もし、人が自分の性機能をコントロールして、
遠心的システムの代わりに、
求心的システムを用いるならば、
すなわち性エネルギー変換(性エネルギー昇華)によって、
自分の性的な力の流れを、
外へ向かうものから、内へと向かうものへと変えるなら、
たとえエロティックな夢を見たとしても、
夢精することは無くなるだろう。
夢精を止めたければ、
性エネルギーのコントロール方法を学ぶべきである。
日常の食べ物、プラーナ、生活の態度が、
性エネルギーと重要な関係があることを知るべきだ。
また、呼吸と性エネルギーには密接な関係がある。
呼吸と性エネルギーに正しく働きかけて調和させよう。
そうすれば、心身両面において根本的な変化が起きる。
プラクティスの手順
この瞑想では、創造的なエネルギーが、
活動しているのをイメージしなければならない。
マントラ「HAM-SAH」をリズミカルに唱えながら、
創造的エネルギーを脳にまで上昇させる。
忘れてならないことは、
イメージと共鳴させながら、呼吸を行うことである。
集中、呼吸とイメージの調和、一定のリズム、
これらがポイントとなる。
「ゆっくりと息を吸い、呼気よりも長くする。」
なぜならば、
外側へ流れている創造的エネルギー(性エネルギー)を、
内側への流れに逆転させなければならないからだ。
言い換えるならば、
「呼気は吸気よりも短くする。」
ことが大事である。
このプラクティスを実践するなら、
ある日、すべての創造的エネルギーが、
外側から内側へ、そして下から上へと、
求心的な方向に流れるように変化するだろう。
プラクティスの実践によって、
上質に変換された性エネルギーは、
崇高なエッセンス(魂)の栄養となり、
高等な意識を目覚めさせる。
実践
プラクティスの間は、目を閉じておく。
瞑想の行う間は、いかなる想いも心から完全に締め出す。
しかしながら、あいにくのところ、
心の中に欲望が湧いてくるのは避けられない。
そのような時、最も良いのは、
一旦「HAM-SAH」を中断し、
欲望と自分を同一視することなく調査研究することだ。
例えば、情欲が湧いてきて、
その欲望の存在理由について、徹底的に深く理解する。
その上で「HAM-SAH」を再開する。
そうすれば、もはや情欲は姿を現さない。
それはその欲望が死に屈したということであり、
エロスの槍(クンダリーニ)によって、
最後のプラクリティまで分解されたということだ。
怒りにまつわる記憶に繰り返し苦しむ時、
瞑想を中断し、マインドを襲う出来事を理解する。
それを自己批判の鋭いメスで解剖し、調べ分解する。
次はそれを忘れ、「HAM-SAH」の瞑想呼吸を続ける。
昔の出来事が思い起こされるなら、
同じように、その記憶の中にある真の意味を見よう。
自己批判のメスを用いて記憶を分解する。
マインドが空になり、空で満たされた時、
心を無にしたまま「HAM-SAH」の瞑想呼吸を続けよう。
マントラを穏やかに繰り返し響かせる。
吸う息はより長く、吐く息はより短くしていく。
HHHHAAAAAAMMMM-SAHハーム サー
このようにして、
完全な静寂、心の寂滅が起き、エッセンスが解放され、
ほんの束の間、リアリティー(真実)に没入できるだろう。
(ニルヴィカルパ・サマディといわれる状態)
悟りの「空」、シューニャターのなかで、
真実の世界がどのようなものか、日頃見えているものと、
どのように違うかを身をもって理解するだろう。
このようにして、
蟻の世界から、太陽や彗星などの広大な世界に至るまで、
そのリアリティー(真実の世界)を確かめることができる。
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