ある日ある時、私サマエル・アウン・ヴェオールは、
エイドロン(アストラル体)すなわち魔術的分身で、
肉体を離れ遠く場所へ旅立った。
ヨーロッパ諸国飛び回ったが会えずに途方にくれた。
突然、奇妙なテレパシーで返事を受け取り、
とある大邸宅へと導かれた。大修道院長はまさにそこにいた。
しかし、何と不思議なこと!
一体これはどういうわけだ?
アッバス・エリファスが幼子になり、揺りかごの中で寝ている。
私は現実を受け止められず呆然とした。
尊敬の念を持ち静かに彼に近づいた。
「マスター、私は課題を学び終えました
それはこの世で嫌悪されている最も恐ろしいものでした。
今、私はあなたとの約束を果たしていただきたいと思います。
マスター・キィーをくださいますか?」そのように話しかけた。
しかし、茫然としている私に対し、
幼子は沈黙したままだった。私は失望してしまった。
その沈黙こそ「叡智の言葉」であると、
その時の私は理解できなかった。
気を取り直し私は幼子を抱きあげ必死になって懇願した。
だが全ての努力が無駄になったと感じた。
幼子はスフィンクスのように沈黙するのみだった。
いったいどれほどの時間が経ったのか・・・・
アイオーン(永遠)の世界には時間は存在しない。
過去と未来が永遠の今の中で一つになっている。
結局、幼子を揺り籠に戻すと、
騙された気分で、悲しみくれながら古びた厳かな大邸宅を去った。
幾日、幾月、幾年経っても疑念に満ちていた。
アッバスが約束どおりマスター・キーを授けなかったからだ。
しかし、ある日突然にイルミネイト(光明)を得て理解した。
その時、偉大なカビール・イエス・キリストの言葉を思い出した。
しかし、イエスは言われた。
「子供たちを来させなさい。
わたしのところに来るのを妨げてはならない。
天の国はこのような者たちのものである。」
マタイによる福音書 19:14 新共同訳
「やっとわかったぞ」
思わず言葉がもれた。
マインドとハートが子供のような純粋性を取り戻すこと、
これこそ絶対必要条件であり、急を要することなのだ。
イエスは言われた。
「はっきり言っておく。
心を入れ替えて子供のようにならなければ、
決して天の国に入ることはできない。
マタイによる福音書 18:3 新共同訳
開始点への回帰、つまり逆行は、
何よりも「自我に死ぬ」がなければ不可能である。
不幸なことに人類のエッセンス、魂、意識は、
自我から構成されている無知な霊的集合体に包まれている。
(無知な霊的集合体:アハンカーラと呼ばれる)
そのために意識は身動きが取れない。
(常に矛盾した行動思うように生きられない原因はここにある)
闇の邪悪な集合体を根絶することによってのみ、
再び魂を原初の無垢な状態に目覚めさせることができる。
エロファス・レヴィ
魔術師でありアイオーン界で
アッバスとなり人類を導いていると言われる。
潜在意識のあらゆる成分を宇宙の塵と化すことができたなら、
エッセンス、魂、意識は解放される。
そうして初めて失われた子供時代を再び取り戻すことができる。
詩人というものは時に真実を明確に表す。
ノヴァーリスは言っている。
「意識とは、
完全になろうと変革し、道の途上にある人の本質である。
それはアダムカドモン(原初に存在した天上の人)
と同じ本質なのだ。」と
(Novalis:ドイツ初期ロマン 派の代表的詩人・小説家)
「意識が目覚める」と、
あらゆる煩わしい問題は速やかに消滅する。
これは疑うことのできない事実だ。
私が人間霊の全ての霊的段階を完全に理解した時、
高次元の世界におられるアッバスは、
マスター・キィーの第二の秘密を私に授けてくれた。
その秘密について解説しよう。
マスター・キィーの第二の秘密
意識的に確実にエイドロン(アストラル体)で、
肉体から離脱するためのマントラについて解説しよう。
ノーシス(グノーシス、叡智)を学ぶ者にとって、
これら論理的な魔法の音を学び実習することは大変役に立つ。
1.蜂の羽音のような(ブーン)という音を、
長く、微かに振動させる。
2.母暗E(エ)のマントラを二調(D調)で長くのばす。
3.R(巻き舌)の発声は、口調(B調)で響かせる。
小さな子供の甲高い声、コーヒミル、
モーターのけたたましい音のように、
それを真似て行うが極めてデリケートに微かに発音する。
RRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
4.Sの音を優しく穏やかに響かせて大変デリケートに発音する。
SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS
(ガラガラヘビのような音、歯の隙間から声帯を使わずに)
解説:
1.はまことに効果のあるバイブレーションである。
(幽体離脱を体験者の多くはこの音を離脱する際に聞いている。
最近のOBE(体外離脱)研究者は、
この音を誘発させる機械も開発している。)
4.のS音は、まさにそのまま発声する。
上下の歯を噛み合わせて、歯の隙間から息を吐く。
アサーナ(姿勢):ノーシスの学徒は、
死者のポーズをとって仰向けに横たわる。
両足のかかとを付けて扇のように開く。
腕は体の両脇に置き、全身を十分にリラックスさせる。
「黄金華の神秘」より
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