スワミジの言葉 イエスの生涯 新連載 40

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 1954年

目次

1 キリストに倣って生きる

イエス・キリストは神の意識を象り生きられました。

彼はまことに神の化身でした。

無知、迷信、貪欲、憎しみ、偽善が、

あらゆるところと同様に、インドで蔓延した時、

彼が生まれたのです。

支配者たちは傲慢で不義をおこなっていました。

人々は貪欲で、怠け者で、不敬でした。

(霊の)純粋さを忘れてしまっていました。

道徳は軽視されていました。

神よりも、マモンを崇拝することに没頭していました。

唯心論はどこにもありませんでした。

 

これらの状況の真っ只中に、キリストは生まれ、

人々の人生の変容のために働きましたが、

それはキリストとしての人生ではなく、

彼の教えによって、後世の時代を通して成功されるものでした。

 

 

主は彼を信じ従うものたちの人生に、

新しい霊的な変化を与えたのでした。

こうしてこの世界に新しい時代が明け染めて、

エスの教えは、はるかに彼方まで広がりました。

 

探求者の心のうちに、

識別や霊的な目覚めがないときには、

彼は偏屈な見解を持ち、利己主義の傾向があり、

神や、聖なる高次の人生を考えることはありませんでした。

彼は物質的な利益の追求に没頭していました。

彼は感覚の奴隷でした。

彼は人生で霊的な理想を持っていませんでした。

彼は欲望の乗り物でした。

彼の性格を特徴づけるものは、傲慢、貪欲、官能でした。

彼は欲望、怒り、貪欲、惑わされた愛着、

プライド、エゴイズム、そして嫉妬の生活を送っていました。

 

 

もし、このような状態を終わらせたいなら、

探求者が純潔、そして献身という、

霊的な大志を持って新しい人生を踏み出したいなら、

キリストの精神(霊 スピリット)が、

各人のハートのうちに誕生しなければなりません。

それこそ、イエス・キリストへのまことの崇拝です。

それこそ、キリストのまことの信者となることです。

私たちの中で眠っている聖なる原理(エレメント)が、

目覚めて表現し始めると、

キリストの恵みのうちに私たちは確実に開花します。

そのようにして、光が輝き出し始めて闇を照らし出すでしょう。

無知は知恵の始まりに席を譲るでしょう。

不純は純粋(純潔)に置き換えられます。

憎しみが終わり、愛が咲き誇るでしょう。

 

 

人の最も内奥の中心核とは、神という本質なのです。

しかし人間の人格を媒介すると、

常に2つの勢力が活動し続けます。

それらは、善の力と悪の力、光と闇です。

神聖なるものと非神聖(悪魔的)なものは、

人間の意識の中で互いに作用しあっています。

全てにおいてそれ自身が輝く光と、栄光の中で、

非神聖(悪魔的)な要素を完全に克服して消滅させ、

最高に神聖な意識を完全に現わすためには、

細部に至るまで最大限に忠実に、

キリストの人生に倣うことを成し遂げることです。

そうしてこそ、霊的な人生と言えます。

これこそヨーガです。これこそサダナ(霊性修行)です。

これこそが自己実現の小径なのです。

 

もしキリストに倣って生きるのであれば、

何よりもまず

私たちのハートに子であるキリストが誕生すべきです。

そのようにして初めて、

志願者の真の霊的な生活が始まるのです。

 

 

善良で美徳の道で進歩しようと、高貴な理想を尊重し、

悪質で否定的な傾向を根絶する、聖なる衝動の最初の現れこそ、

幼きイエスが、私たちの意識の中で誕生したことを意味します。

このようにして、崇高な純潔、神への信仰、憐れみ、

思いやり、愛、無私、無欲、エゴの放棄、赦し、

信仰深さなどの、すべての細部において、

キリストに倣う人生が始まるのです。

今後は、ひたむきにヨーガを行い、自己抑制と清貧、

完全な平安と平和、寛容さ、

喜びと苦痛にあっても心の平静を保つこと、

怯むことのない勇気と決意、そして人類への献身を通して、

神への礼拝に完全に専念する生活を始めるのです。

これこそ、イエス・キリストと結ばれるという、

祝宴の霊的な意味なのです。

これはまた、復活祭のメッセージでもあります。

(祝宴: イエスの天国についての譬え話

マタイの福音書22章1-14を参照  訳注)

 

 

真に熱心な探求者の心の中で、キリストの霊が再臨することで、

すべての世俗的な欲望は終わりを告げます。

彼の内にあるすべての悪意ある傾向が終止します。

彼は他の周りの人々に影響を与え始めるでしょう。

イエス・キリストの精神が彼から発散されるのです。

 

多くの人がその精神に気づき、

非常に多くの善意が彼らの生活にもたらされます。

したがって、すべての存在の各々が、

神聖な大志、同胞への思いやり、

社会的奉仕という新しい生き方を始めると、

霊性によって徐々に唯物主義を克服することでしょう。

 

この世界に、より多くの善意、調和と平和が訪れます。

お互いを助け、お互いを理解し、

欲深さや利己主義、エゴイズムを減らす傾向は、

すべての領域で徐々に成長し、

あらゆる家や家庭でより大きな幸福をもたらします。

 

 

霊的な人生は貧しい人々と地位の低い人のためのものではなく、

裕福な人たちの手の届かないものでもありません。

霊的な道を目指すために、

食べ物と雨宿りの場所の保障を手放す必要はありません。

しかし、イエスの誕生には重要なポイントがあります。

主は簡素で、貧しい、馬小屋の片隅で生まれました。

また、主は真夜中に、

人目につかない暗闇の中でお生まれになりました。

祝福された少数の魂を除いて、誰も知り得ませんでした。

 

ここで重要なのは、謙虚で従順で単純な探求者に、

霊的な目覚めは訪れるということです。

神の意識の光は、物質的な魅惑の惑わしの輝きと、

富の腐敗的な影響が不在の時にのみ現れるのです。

 

真の謙虚さという資質は、不可欠な原則の一つです。

清貧、聖性と放棄、そして、

すべての世俗的欲望と学問のプライドの放棄、

善意と美点がある時のみ、

神の光は内側に現れるのです。

 

 

人目につかない暗闇で、世に知られていない中、

キリストの誕生があったように、

完全な自我の消滅と自我の放棄が行われた時、

魂の本質において、キリストの霊も出現します。

富や名声、権力などを増大させる衝動、

虚栄が蔓延するところでは、

神はご自身を明らかにすることはできません。

これらの利己主義の表現は、

あらゆる種類の霊的成長への永久的な障害だからです。

虚栄心を持つ人は神から遥かに遠いところにいると、

あなたは確信できるでしょう。

利己的な人は神について何も知りません。

寛容さが無い人は、神を完全に誤解しています。

「汝自身を空にしなさい、そうすれば私は汝を満たそう」と、

エスは助言しました。

天の王国は確かに謙虚な心を持つ人のためにあります。

 

 

何世紀も前にイエスがニコデモに説明したのはこの秘密でした。

この善良な人は、イエスの言葉の意味を、

正確に理解することが出来ませんでした。

「どうしてそんなことがあり得ましょうか?

神の王国を獲得するために、

どのようにして私が再び産まれることが出来るのでしょうか?」

そのように、ニコデモスは尋ねました。

そうすると、キリストは、

この誕生は肉体のものではなく、

霊の内なる変容であると説明しました。

 

 

以下聖書より引用 訳者

ヨハネ福音書3章1-36

パリサイ人のひとりで,

その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。

この人が夜イエスのもとにきて言った

「先生,わたしたちはあなたが

神からこられた教師であることを知っています。

神がご一緒でないなら、

あなたがなさっておられるようなしるしは、

だれにもできはしません。」

エスは答えて言われた「よくよくあなたに言っておく。

だれでも新しく生れなければ,神の国を見ることはできない。」

ニコデモは言った。「人は年をとってから生れることが、

どうしてできますか。

もう一度,母の胎にはいって生れることができましょうか。」

エスは答えられた。「よくよくあなたに言っておく。

だれでも水と霊とから生れなければ、

神の国にはいることはできない。

―中略―(イエスクンダリニーと霊の誕生について語る)

そして,ちょうどモーセが荒野で蛇を上げたように

人の子もまた上げられなければならない」

以上

 

 

もし本当にイエス・キリストを知ることを望むなら、

そのような霊的な誕生は不可欠なのです。

すべての人のハートの中で、

キリストの生涯の真の意味が明らかになりますように。

権力への渇望と富による傲慢が人の性質を侵している限りは、

キリストの霊は手の届かないところにあることを、

完全に理解してください。

それは人だけではなく、

同様に、地域社会や国家も同様に言えることです。

個人の心に真の霊的な変化が起こってこそ、

世界中の諸国でその影響が見られるのです。

すべての魂が人生の意義を理解できるようになりますように。

兄弟愛、寛容、博愛、謙虚さ、相互理解、

愛と思いやりの精神を、すべての人が育てますように。

すべての人がより偉大な知識と悟り、

そして善意を熱望しますように。

成長(霊の)と完徳という観念を持つことにより、

絶え間なく前進しましょう。

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